July 30, 2005
冒険の旅の仲間たち 2-2
自分の子どもを虐待したり、捨てたりする親が増えるかと思えば、逆に子どもが親を殺してしまう。そんな新聞記事やテレビのニュースを見たり聞いたりしていたとき、以前紹介したW先生の学級通信の話を思い出した。
以下はW先生が送ってくれた学級通信の内容です。
W先生に千葉にいる同じ教師仲間のSさんから手紙が来ました。
Sさんはテレビを見ていて、懐かしい信頼している病院のM先生が出ておられたので、12年前を思い出したと言って手紙をくれたのでした。
「息子の病気は水腎症でした。片方の腎臓が機能していなくて、このまま放置しておくと、体は腎臓が二つあるつもりで動くので、機能している腎臓に負担がかかってしまうということで、一つの腎臓を取ってしまうことになりました。まだ生まれて1ヶ月です。とてもショックだったことを思い出します。そのとき手術を担当していただいたのが、M先生でした。
手術はとてもうまくいって、息子は今中学1年になりますが、とっても元気です。
また、入院していた部屋の子どもたちを見ていると、息子の病気などはとっても軽いものに感じました。肛門が無くて、生まれたときから人工肛門をつけている子、生まれたとき体が内側に曲がってしまって、性器も見えなくて、男女の区別もできなかった子等々。その子たちの様子に夫婦ともども励まされて入院生活を過しました。
となりの部屋はガラス張りで見ることができます。ところがそこにいるお母さんたちは、とっても元気で生き生きしているのです。息子の部屋と同じような病気にかかっている子が入院しているはずなのに、なぜあんなに元気なのだろうといつも不思議に思っていました。そして、そのとなりの部屋が小児癌の子どもたちの部屋であることを知った時、愕然としました。そう言われてみれば、数日で子どものメンバーが変わってしまうのです。つまり数日で亡くなってしまうのです・・・。
ある日、M先生と話す機会があり、思い切ってたずねてみました。なぜ小児癌の子どものお母さんがあんなに元気なのですか・・・と。するとM先生はしばらく考えていましたが、次のようなお話をしてくださいました。
Sさん、あのお母さんたちは、もう涙が涸れる寸前まで泣いたんです。そして決めたんです。他の子どもたちに比べると本当に短い人生だけど、生まれてきてよかったな・・・、生きるってこんなに楽しんだよってことを子どもたちに教えてあげたい、味あわせてあげたい・・・、そして、あの子どもたちが生きている間は、親として本当に心から明るく、やさしく接してあげたいと・・・。それが親のつとめかなって。そして、子どもたちが死んでしまったときに、しまっておいた残りの涙を流すんです。
子どもたちのいじめ・自殺がいまだ後を絶ちません。
生きていることは、楽しいはずです。すばらしいことのはずです。それをわれわれは大人として、親として子どもたちに教えているのかなって時々思います。そして、それを感じる心や体に子どもたちに育てているのかなって。そしてなによりも我々自身が精一杯充実させて生きているのかなって感じます。あのお母さんたちの決してウソでない笑顔が、今でも自分への叱咤激励になっています。」
この自分への手紙をW先生は中学3年生の学級通信に載せて紹介しました。
さすが、冒険の旅の仲間だ、と思っています。
以下はW先生が送ってくれた学級通信の内容です。
W先生に千葉にいる同じ教師仲間のSさんから手紙が来ました。
Sさんはテレビを見ていて、懐かしい信頼している病院のM先生が出ておられたので、12年前を思い出したと言って手紙をくれたのでした。
「息子の病気は水腎症でした。片方の腎臓が機能していなくて、このまま放置しておくと、体は腎臓が二つあるつもりで動くので、機能している腎臓に負担がかかってしまうということで、一つの腎臓を取ってしまうことになりました。まだ生まれて1ヶ月です。とてもショックだったことを思い出します。そのとき手術を担当していただいたのが、M先生でした。
手術はとてもうまくいって、息子は今中学1年になりますが、とっても元気です。
また、入院していた部屋の子どもたちを見ていると、息子の病気などはとっても軽いものに感じました。肛門が無くて、生まれたときから人工肛門をつけている子、生まれたとき体が内側に曲がってしまって、性器も見えなくて、男女の区別もできなかった子等々。その子たちの様子に夫婦ともども励まされて入院生活を過しました。
となりの部屋はガラス張りで見ることができます。ところがそこにいるお母さんたちは、とっても元気で生き生きしているのです。息子の部屋と同じような病気にかかっている子が入院しているはずなのに、なぜあんなに元気なのだろうといつも不思議に思っていました。そして、そのとなりの部屋が小児癌の子どもたちの部屋であることを知った時、愕然としました。そう言われてみれば、数日で子どものメンバーが変わってしまうのです。つまり数日で亡くなってしまうのです・・・。
ある日、M先生と話す機会があり、思い切ってたずねてみました。なぜ小児癌の子どものお母さんがあんなに元気なのですか・・・と。するとM先生はしばらく考えていましたが、次のようなお話をしてくださいました。
Sさん、あのお母さんたちは、もう涙が涸れる寸前まで泣いたんです。そして決めたんです。他の子どもたちに比べると本当に短い人生だけど、生まれてきてよかったな・・・、生きるってこんなに楽しんだよってことを子どもたちに教えてあげたい、味あわせてあげたい・・・、そして、あの子どもたちが生きている間は、親として本当に心から明るく、やさしく接してあげたいと・・・。それが親のつとめかなって。そして、子どもたちが死んでしまったときに、しまっておいた残りの涙を流すんです。
子どもたちのいじめ・自殺がいまだ後を絶ちません。
生きていることは、楽しいはずです。すばらしいことのはずです。それをわれわれは大人として、親として子どもたちに教えているのかなって時々思います。そして、それを感じる心や体に子どもたちに育てているのかなって。そしてなによりも我々自身が精一杯充実させて生きているのかなって感じます。あのお母さんたちの決してウソでない笑顔が、今でも自分への叱咤激励になっています。」
この自分への手紙をW先生は中学3年生の学級通信に載せて紹介しました。
さすが、冒険の旅の仲間だ、と思っています。
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この記事へのコメント
1. Posted by breitling replica May 09, 2015 11:43
