May 17, 2008

「戦陣訓」について考える

久しぶりに「戦陣訓」(せんじんくん)を熟読した。
戦陣訓は、1941年1月に当時の陸軍大臣・東條英機が示達した訓令(陸訓一号)で、軍人としてとるべき行動規範を示した文書である。
戦陣訓については、その中の「本訓 其の二 第八 名を惜しむ」が軍人、民間人の多量な無駄な討ち死に、自殺を誘発したのではないかと議論になっているが、ここだけを取り上げて議論するのは如何なものかと思う。

佐賀の「葉隠れ」にある「武士道とは死ぬことと見つけたり」の一説とよく似ている。前後の文章をしっかり把握しないとあらぬ解釈に陥ってしまう。ここでは「葉隠れ」についての意見は差し控えるが、戦陣訓は軍の規範を示した今でも十分通用する規範集であると思う。
特に政治家、役人また団体役員には熟読玩味(じゅくどくがんみ)、実践躬行(じっせんきゅうこう)を促したい。

例えば、本訓其の二第五「卒先躬行」
 幹部は熱誠(ねっせい)以て百行(ひゃくこう)の範たるべし。上(かみ)正からざれば下(しも)必ず紊(みだ)る。戦陣は実行を尚(とうと)ぶ。躬(み)を以て衆に先んじ毅然として行うべし。

本訓其の二第六「責任」
 任務は神聖なり。責任は極めて重し。一業一務忽(ゆるが)せにせず、心魂を傾注して一切の手段を盡(つ)くし、之が達成に遺憾(いかん)なきを期すべし。責任を重んずる者、是真に戦場に於ける最大の勇者なり。

本訓其の二第十「清廉潔白」
 清廉潔白は武人気節の由てて立つ所なり。己に克つこと能(あた)はずして物欲に捉(とら)はるる者、争(いか)でか皇国に身命を捧ぐるを得ん。身を持するに冷厳なれ。事に処するに公正なれ、行ひて府(ふ)仰天地(ぎょうてんち)に愧じざるべし。

まだまだ本訓其の一には「団結」、「協同」、「必勝の信念」、本訓其の三にも「戦陣の戒」「戦陣の嗜」など今の状況に言葉を置き換えれば十分というか新鮮な響きを持って受け入れられる規範が多い。
もちろんこれが出来た昭和16年は戦争という異常事態である。言葉に過激な表現があるのは止むを得ないが、そこだけを取り出して議論するのは愚である。
時代背景を理解し、全体の文章を熟読すると今に蘇る素晴らしい行動規範集であることが分かる。
まだ読んだことがない方は是非お読みすることをお勧めします。

最後に議論となっている本訓其の二第八「名を惜しむ」の本文は以下である。この文章も戦陣訓全体を読まなくては正しい理解は出来ないのであるが・・・。

「恥を知るものは強し。常に郷当家門(きょうとうかもん)の面目を思い、愈愈(いよいよ)奮励して其の期待に答ふべし。
生きて虜囚の辱を受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿(なか)れ」

*戦陣訓本文は原文の漢字、仮名遣いを引用しています。


cpiblog00620 at 16:55│Comments(0)TrackBack(0)clip!こころ 

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